愛と約束

天下の桐江グループの社長……今は会長か。


そいつの子息として生まれたものの、母は愛人であった。


挙句、母には子供として愛されず、父もまた、弦刃には無関心。


愛人ということは、正妻がいた。


その正妻にも子供はいて、桐江の跡継ぎとして育てられた。


愛など貰わず、ただ、物心がついた時から、教育の日々。


それが俺の友人である、桐江吊戯。


桐江グループの現社長である。


そんな中、母は弦刃を父親に金で売った。


その後、姿を眩ませた。


そして、父親に引き取られた弦刃は吊戯の分もプレッシャーをかけられ、愛を知らないまま苦しんで、それに巻き込まれて、俺の可愛い可愛い妹の歩も、沢山傷ついた。


全ては、大人の勝手な都合だ。


それに振り回されてしまったがゆえ、弦刃は歩を大事にする方法がわからない。


母に売られ、父は無関心で、吊戯の母・正妻は弦刃を虐待し、逃げる場もなかった幼少期。


俺と歩も愛された子供ではないけれど、弦刃の境遇よりは幸せであったといえる。


歩はそんな弦刃も受け止めて、抱きしめて、精一杯に愛そうとしているのに……互いに想いはすれ違うばっかりで、上手くいかない。


どうしたもんかと思っていると、やっとこさ、弦刃が頼れる味方が家を訪ねてきた。