愛と約束



「お前はきっと、良い母親になるだろう。でも、俺は……俺には、わからん。人を愛すということが、まだ、分からん。想うままに愛して、お前が傷つくのが怖い。想うままに愛して、お前が消えるのが怖い。そう考えると、お前は俺以外の奴と、って―……」


知っている。


彼が、自分に自信が無いことは。


「どうして、そんな風に言うのよ……」


でも、それでも、と、私は彼に告白し続けたんだ。


「……悪い」


「悪いじゃないっ!」


好きだから。


ただ、好きだから。


「私だって、愛が何なのかはわからないわよ!」


お兄ちゃんは愛してくれた。


ずっと、宝物のように大切にしてくれた。


でも、それは"親”の愛じゃない。


子供が当然に受けるべき、愛じゃない。


「お兄ちゃんに大切にされて、守られて……それで、貴方に出会った。一緒にいられるのが嬉しかった。好きって気持ちはわからなかったけど、ずっと、一緒にいたかった!それだけなの。それだけじゃ、ダメ?好きって、そんなに大事なの?わからない。そっちの方が、私にはわからない!」


知らない。


私も、知らない。


親の愛なんて、知らない。


「好きな人がいるって言うのなら、諦められるのに!!」


どうして、そんなことを言うの。


貴方は私を認めてくれないのでしょう?


それなのに、手放してくれないなんて。


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