愛と約束
「……何がしたいの。私が離れないって言えば、満足なの?」
嫌だよ。
そんな、事務的な日々は。
「私を愛してくれてるの?私、あなたのそばにいる権利はあるの?」
わからない。
ただ、拒絶されるのは嫌。
『お母さん、見て!今日ね―……』
『うるさいわね!近づかないで!!』
分からなかった。
どうして、愛してくれないのかって。
汚らわしいものを見るかのような、瞳。
愛しげな目なんて、私は知らない。
だから、お兄ちゃんの過剰な愛は心地いいの。
幸せを、感じられるから。
「今までのように1人なら、私は嫌。弦刃を愛しているけれど、嫌よ。絶対、貴方の元へは帰らない」
「……」
私の両親は、私が結婚したら……弦刃と結婚したら、弦刃を餌とするだろう。
上手いこと、お金をせびりに来るだろう。
だから、お兄ちゃんにお願いした。
戸籍上、彼らと縁を切れることを知ったから。
きっと、今頃……私の家族は戸籍から、お兄ちゃんだけになっているだろう。
「……弦刃」
私の言葉に、真剣に悩んでいるらしい弦刃。
無言で考え込んで、何も話さない。
(……そんなに悩むこと?)
吃驚。
弦刃のこんな顔、仕事している時以外で見たことない。