愛と約束
好きと涙
「井上がこの度、寿退職することとなった。送別会は今度の―……」
ああ、いいな。
私も、赤ちゃん欲しい。
空っぽのお腹を抱き、私は悲しみに充ちたせいで広がった黒い感情に嫌気がさす。
家に帰ってもまた、変わらない日々。
仕事人間なあの人には、届かない私の声。
愛して欲しい。
愛して欲しい。
その願いは、全て、切り捨てられてしまうの。
『子供欲しいな』
私がそう言えば、
『俺も欲しいよ』
そう返してくるくせに。
私が欲しいのは、あなたの子供。
なのに、あなたは口ばかりで、私を抱かない。
昔は、あんなにも求めてくれてたのに。
キスもしない。
身だしなみをきっちりして、朝も私の作ったご飯をまともに食べずに、仕事に出かけるあなた。
声すらかけられなくて、毎朝、孤独なのわかる?
仕事と私、どっちが大事?
とか、聞くつもりは無い。
でもね、怖いよ。
あなたに愛されてないということを、最近、敏感に感じる自分が怖い。