愛と約束



真正面から、微笑みかける。


すると、弦は顔を歪めて。


「―……ありがとう」


私を抱きしめて、震える声で呟いた。


良いんだよ、完璧じゃなくて。


私はそれくらいで、貴方を見捨てたりはしないから。


「……ねえ、弦」


「ん?」


「…………貴方は、私を愛してくれるかな」


私達は、お互いに愛を欲した。


親に貰えない愛を、互いに求めてきた。


でもきっとそれは、親に支配されていたという証だよね。


私はもう、そんなのをやめたいから。


「……」


無言で、見つめられる。


「あー……うん」


目をそらされる。


やっぱり、女としては愛せない、とか?


じーっと、見つめると。


「…………何で、お前はそんなに素直かな」


コツン、と、額が合わさった。


「知佳さんの教育の賜物?」


尋ねられるけど、そんなこと分からないよ。


「お兄ちゃんが褒められるの、なんか嬉しい」


「褒めてるわけじゃ……あ、そうだ。あの悪夢、もう一度……」


「え?」


顔を手で覆った弦は、はぁ、と、ため息。


そして、私の腰に手を回す。


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