愛と約束



「何か、嫌なことでもあるの?」


「そうだね。少なくとも、半世紀は呪われるんじゃないかって思うくらい、怖いことがあるかな」


「えっ、それって……おばさんよりも?」


「母さんよりも」


「それ、わ、私が代わってあげられない?」


シンクに背中を預けて、珍しく、本当に珍しく、絶滅したと思っていた弦刃の甘えモードが始まって。


頬に触れる優しい手や、


肩に落ちてくる弦の頭、


耳を擽る声に、


私の心臓は忙しなく。


「んー……。正直怖いし、嫌だけど……自業自得だし」


「何が?」


「許可を取りに行くことだよ」


「、?」


何の、許可を?


お兄ちゃんに??


「……その鈍さも、素直さも、全部、知佳さんのおかげかな。お陰様で、あゆに悪い虫は付かなかったんだけどね……こういう時はね、困る……」


どうやら、困っているようです。


お兄ちゃんが、弦に何するかは知らないんだけど。


「……ねぇ、あゆはさ」


「ん?」


「俺が、あゆを愛せないように見える?」


「…………今までから、考えると」


「………………ですよね、」


??、なんの話しをしているのだろう。


でも、事実だし。


「……じゃあ、知佳さんへの言葉は変えないとなぁ」


「え、お兄ちゃんへ?何か話すの?」


「うん。結婚の話」


「……」


暫し、フリーズ。


「おーい、あゆ?」


固まっていると、顔を覗き込まれて。


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