愛と約束
別の優しさ
「峯田、大丈夫か?」
ご飯を食べる気にもなれず、軽くつまんでいると……現れたのは、彼氏の親友とも言える私の上司の瀬戸さんだった。
「はい」
「全然、食ってないじゃないか」
「最近、食欲がなくて。恐らく、夏バテかと」
「病院には行ったのか?」
「今度いくつもりですよ」
病院は嫌いだ。
何度も、孫を孕まないからと……連れていかれて。
そんなことをしていた彼氏の祖母は亡くなったから、少し、今は気分が楽。
それでも、病院への抵抗感はあって。
「弦のやろー、歩ちゃん放って……」
「あ、大丈夫です。仕事ですから」
―多分ね。
あまり、信頼してないけど。
「弦……桐崎くんも、忙しいんですよ」
「……弦って呼ばないのか?」
「呼ぶ資格、最近、失ってる気がして」
「なんでまた……」
私が微笑むだけにしていると、
「困ったことがあったら、いつでもうちにおいで。梢も喜ぶから」
「本当ですか?なら、お邪魔させてもらおうかな……」
梢って言うのは、私の親友。
こんなことを梢に相談していいのか悩んでいるうちに、時だけがすぎて。
こっそりの事だったし、きっと、弦は梢の旦那が親友の瀬戸さんだってことも知らないだろう。
あの人は、そんな人だ。
興味が無いんだよ。
私の周辺は、特に。