彼女に落ちるまで~甘い運命 修一side
「…じゃ、俺も都ちゃんって呼ぼうかな」
ちょっと恨めしそうにそう言うと、楽しそうに笑いながら、彼女は首肯した。
「いいですね、距離を縮めましょう!
私、こんなに楽しいお酒は久しぶりです~。
修一さんもたのしいですかぁ?」
少し呂律の回っていない感じで、彼女が聞いてくる。
「勿論、俺も凄く楽しいよ、都ちゃん」
ニッコリ笑って言うと、彼女もふにゃ、と笑い返してきた
何だよ畜生、可愛いじゃないか。
「それにしても、いい飲みっぷりだね。都ちゃん。
そんなに飲む女の子、初めて見た」
込み上げる何かを押さえて、俺はにこやかに話しかける。
すると、さらに蕩けるように笑った彼女。
「うふふ、誉められたぁ」
ことんと横に首を傾けて、俺を見る。
女を売りにする、媚びた視線を沢山受けてきた俺には、その何の打算もない仕草が、とても尊いものに思えて。
──ああ、もう。
もう、ダメだ。
この子を、全力で、獲りに行く。