彼女に落ちるまで~甘い運命 修一side
暫く待ってから彼女と連絡がつき、待ち合わせの居酒屋に向かう。
先に着いて、入り口でスマホを弄っていると、慌てた彼女が飛び込んできた。
「すっ、すみません、お待たせして!」
息を切らせて、肩を上下させて、手を膝について。
髪型や化粧を気にする女性は、決してしないだろう全力疾走をしてきたんだろう。
知らず、口角が上がる。
「そんなに急がなくても、大丈夫だったのに。
──俺とのデート、そんなに楽しみだった?」
早速、彼女をからかう。
ばっと顔を上げると、耳まで真っ赤で。
口は、『何か言いたいけど、適切な言葉が見当たらない』と言う風に、モゴモゴしている。
口元に手を当てても、込み上げてくる笑いを押さえきれず、肩が揺れる。
「──見えてますよ、三上さん!
いっそ思いきって笑ってもらえます?!
中途半端で気持ち悪いです!」
「くっくっ…そう?
じゃ、遠慮なく…はははははっ!」
───俺、今日。
きっと去年一年分に匹敵するほど笑ってると思う。