彼女に落ちるまで~甘い運命 修一side
何とか笑いを納めて、膨れっ面の彼女を、予約した席に導く。
席について、メニューを見ていると、彼女の機嫌はみるみる直っていく。
お通しと飲み物がきて、先ずは乾杯。
仕事終わりのビールは、格別。
「ぶは~、生き返る!」
ついつい口に出た言葉。
──女性を連れているときはおろか、同僚の前でもこんなことを言うことはない。
自分の油断に自分自身で驚いていると、正面から笑い声。
「なんだよ」と、ちょっとむくれて言うと、自分も同じ事を思っていたと笑う彼女。
その笑顔に、ほっこりした気分になる。
目の前に注文した料理が並ぶ頃には──本当に、何と言うか、背中の方から『わくわく』という文字が立ち上っているように嬉しそうで。
自分の表情筋が、勝手に笑顔を作るのがわかる。
──まだ何も話していないのに。
一緒にいるだけで、楽しくて仕方ない。