闇夜に消えて
「そーゆーわけじゃないけど……」
そこまで言うと言葉を詰まらせて、そして
「……昔、1度だけ、親父に連れてきてもらったことがあるんだ」
流星が初めてしてくれた家族の話。
「……そうなんだ」
それしか言えなかった。
「そんときはまだ、良かったのにな」
流星は困った顔をして笑った。
何がよかったの?
なんて、聞く勇気ないよ。
「その頃に、戻りたい?」
流星のことを知りたいのは本当で、少し控えめに聞いてみた。
そしてまたうつむいて
「う〜ん。ははっ」
誤魔化したように笑われた。