闇夜に消えて
やっぱダメか……。
でも、流星のつらそうな顔を見るくらいなら、知らなくていいや。
「流星」
「ん?」
「もー帰ろっか」
「え?なんで?」
「帰ろ」
理由を言わない私に、何かを察したように「ごめんな」と小さな声でつぶやくのが聞こえた。
流星のせいじゃなにのに。
謝らないでよ…。
私は、花火大会に行った記憶が無い。
花火大会だけじゃない。
土日も、長期休みも、どこにも連れていってもらった記憶が無い。
二人とも仕事仕事でほとんど家にいなかったし。
流星みたいに、楽しかった思い出なんてない。