闇夜に消えて
覚えているのは、両親がお互いの悪口を言う時の、醜い声。
それだけ。
母と父が出会わなければ、私は幸せになれてたのかな?
いや、そもそも産まれてないのか。
それでも良かったかも。
これを流星に言おうかどうか悩んでいる。
だって、今の流星はとてもつらそうな顔をしているから。
流星のことはまだよく分からないけど、私の方が不幸かもしれない。
ほら、よくいうじゃん?
人の不幸は蜜の味って。
だから、少しは流星はが楽になるかなって思ったけど。
流星はそんな人じゃないもんね。
そんなことを考えていた時、隣からふと温もりが消えた。
「え?」
後ろを振り返ると流星が立ち止まっていた。