闇夜に消えて
ドアを開ける音が聞こえた。
え?
やだ、こわい。
誰か入ってきたよね?
外はもう薄暗いからよく見えない。
「誰?」
低い声から、相手は男の子なんだとわかった。
その人は手に持っている懐中電灯を私に向けた。
「わっ」
ま、眩しいんだけど…。
私が目を細めていると、男の子は聞いた。
「誰?
どうしてこんな所にいるの?」
懐中電灯の逆光で相手は見えない。
ただ、尋常じゃないくらい警戒されていることはわかった。
「ごめんなさい。
人がいるなんて知らなくて……。
すぐ出ていきますから」