闇夜に消えて
その事を願うばかり。
流星がいない生活になんて戻れそうにもなかった。
流星がいなくなってから2週間がたっていた。
いつものようにカレーパンを買って帰ってきた午後5時半。
カーテンをしめ切っていて、電気もついていない暗い中、鼻をすする音だけが聞こえた。
まさか……。
暗い中に誰かがいるという状況だけど、怖さなんて微塵も感じなかった。
震える手で天井からぶら下がっている懐中電灯をつけた。
そこには……。
黒いパーカーに身を包み、部屋の隅っこで、ひざに顔をうずめている男の子がいた。
「ミャーミャー」
リンが嬉しそうに鳴いた。
その男の子は顔を上げてこちらをむく。
「ゆずき……」
見慣れていた綺麗な顔。
聞き慣れていたひくい声。
懐かしいこの感じ。