闇夜に消えて

でも、親父に見つかると強制的に離される。

母さんはそんな親父に嫌気がさして家を出ていった。

母さんは俺も連れていこうとしてくれたけど、とうぜん無理だった。

俺は安らぎを失った」


「うん…」


流星は匂いでわかったのか、私が買ってきたカレーパンを取り出して食べた。


「母さんが疲れている俺のためによく作ってくれていたのが、カレーパンだった。

母さんがいなくなっても、これを食べていれば心が落ち着いた」


だからいつも…。


「そうなんだ…」


「中学に入ると、親父はいっそう教育に熱を入れた。

いい子を演じていた俺は、クラスのやつらにいじめられるようになった」


花火大会の日にあったアイツらのことを思い出す。


やっぱり…。


許せない。
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