闇夜に消えて
乾いた笑いが闇夜に響いた。
「笑うなよ」
「笑うよ。こんな話。
結局母親に引き取られたけど、それでも見向きもされなかった。
『私は忙しいの』
『金だけあげるからどっかいって』
それが母親の口癖だった。
あんたさえいなければって言葉で全てを私のせいにされた。
それが嫌で嫌で、中学卒業と同時にお金を持って家を出た。
それで、流星にあったの」
「どこから来たの?」
「ここからずっと遠いところ。
誰も私を知らない場所に行きたかったから」
「辛かったな」
私を抱きしめてくれる流星。
私も流星の背中に手を回した。
流星のお父さんと私の母親が一緒になったら、ある意味いいコンビかもしれない。
「ふふっ」
「なにわらってるの?」
「んーん。なにも」
そう思って笑えてる私は、かなり幸せなのかもしれない。