闇夜に消えて
闇夜に消えて
2人の過去を話し合ったあと、流星はすぐに眠ってしまった。
私はなぜか、眠れずにいた。
流星を起こさないようにそっとベランダにでる。
イスに座ってほおずえをつき、空を見上げた。
こうしていると、なんだか放心状態になる。
目をつぶって耳に意識を集中させると、いろんな音が聞こえた。
車のクラクション音。
救急車のアナウンス。
酔っ払ったおじさんの声。
今、どんな気持ちで生きてるんだろう。
何を考えて生きているんだろう。
私は流星と出会った日のことを思い出していた。
全てを捨てたあの日。
この街の何も知らない私。
『ここにいればいいのに』
そう言ってくれたひくい声。