闇夜に消えて
「あなたも荷物が多いから」
彼はフッと微笑んだ。
「君と同じようなものだよ」
ってことは、この人を家出か。
それでここの空き家を見つけたってわけね。
あーあ。
残念。
せっかくいいところを見つけられたと思ったのに。
まぁ、こんな田舎だから空き家はほかにもあるよね。
「じゃあ、私は行くから」
今度こそ出ていこうとする私に、彼はまた声をかける。
「あてはあるの?」
「ないよ。
今日はそこら辺の公園で寝るかな。
また明日になったら住むところを探すよ」