男には負けません。



しのぶが近づき



「はいはい、なにしてんの」と声をかける



「し、しのぶ様!」

「りん様!!」

「い、いこ!」「うん!」



しのぶが声をかければ怒声を出していた2人の女子が振り返り、やばいと察したのか走り去って、行ってしまった



「あ、逃がしちった。名前聞きたかったんに
ごめん、りん…」


「別に。顔は覚えたし」


「まぁそれだけで十分か。君大丈夫?」


しのぶが罵声を浴びせられていた女子に
目を向け話しかける



「あ、は、はい。ありがとうございます」



と女子は目に溜まっている涙を手で拭い
私たちにお辞儀をする



「律儀だわ〜。めいまいにも見せたい」



いきなりおかん性質を出されても困るわけで



「あ、あの…」



ほら困ってる。



「君、名前は?
いじめられてる訳とか分かる?」



さっきとは全く違う雰囲気を出したしのぶに
戸惑ったのか、モジモジしだした



「あ、あの私は柏木ゆうなといいます」


「柏木ゆうな?」「は、はい。」



どっかで聞いたことあるな〜としのぶが
頭を悩ませ始めた



「いじめられている理由は…多分…ですけど
「鬼桜の姫」だからだと…え?」



女の言葉に被せしのぶに教える



「あぁ!そうだそうだ!鬼姫か!」


「え、あ、はい…?」



女は何が何だかといった様子でしのぶを見る



「どっかで聞いたことある名前だと思った」


「やっぱり私…噂になってますよね…」


「え、あぁ、なってるっちゃなってるけど…
うちらの情報網は異常だからな…。」
としのぶが小声で言えば


「え?」と聞き返してくる


「あ、いや、こっちの話!」



私らのこと知らないっぽいな、まあいっか
それよりも早く帰りたい…



「じゃあ」


「あ、りん!じゃあゆうなちゃん?またね!」



私に続きしのぶが別れを言いその場から離れようとすると



「あの!名前教えて下さい!!」



呼び止めてくる鬼姫私は足を止めしのぶを見る

しのぶは私が話すのがめんどくさいと
察したのかはぁ、と溜息をつき



「私は霧崎しのぶ。
で、こっちは御堂りん。」


「しのぶさんにりんさんですね!
本当にありがとうございます!」


「いえいえ」笑顔で返すしのぶ


「見張らせておく」


簡潔にいえば、ハテナが浮かぶ鬼姫
説明しろと目でしのぶに訴えれば
自分で話しなよ、と横目で怒られた



「東棟で悪さするヤツらは見張っとくから
のびのびと生活しろだって、多分。」


「見張る?」


「あぁ、そこからわかってないのか…」


「あ、あの…あなた達は…?」


「鈴蘭」と呟けば苦笑いのしのぶ


「(普通に話せって。)
うちらは東棟の鈴蘭、覚えとけばいい」


「鈴蘭…?なお君たちみたいな…?」


「あぁ、まぁそうだね。
族の女版、レディースってところ」


「じゃあみなさんも強いんですね!
なお君たちもすごく強いので…」



このままだと世間話が続く
それは勘弁して欲しいな…行こう。



「じゃあ」

「あ、りん!ごめんね!また!」

「あ、ありがとうございました!!」



そしてその場を後にした


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