守りたい ただあなただけを
「俺が知る限り、バスでは家族殺しの事案は発生した事が無い。
当時は相当世間を騒がせたんだろうな・・。」
「言い訳をするつもりは無かった。
だから身柄を拘束された時も、
牢に入っている間も、
必要最低限のことしか話さなかった。」
「・・・・。」
「死罪を言い渡されるはずだった。
・・・覚悟も出来ていた。
だが判決が下る前夜・・
今は亡きソプラノの長が・・
イズミ様のお父上が私の牢までお越しになられた。
“君の命は私が預かった”と言われ、
牢から出されるとそのままお屋敷へ連れて行かれ・・
何が起きているか分からないまま・・・生まれたての赤ん坊が眠る前に座らされた。」
「もしかして・・・?」
エイダは無言のまま、自分の肩にもたれかかるイズミに眼差しを向けた。