守りたい ただあなただけを
「長がどこまで知っていたのか分からない。
“痛みは、痛みを知る人間からしか学べない”
それだけ私に告げて、
そのままお屋敷に置いてくださった。」
「どうやら長の判断は正しかったようだな・・。」
「・・・リューマ、頼みがある。」
「・・・うん?」
「イズミ様を御守りすること・・
それが私の生きる意味。
もしこの先、この身に何かあっても・・。」
「大丈夫、
俺はお前が思ってるほど聖人じゃない。
もしイズミが危機にさらされたら、
真っ先にお前を切り捨ててやるよ。」
「・・・・安心した。」
ほんの少しだけ荷台の隙間を開ける。
初めて見る景色が視界を包む中、
空は夜から朝になろうとしていた。