守りたい ただあなただけを


―――――― 


「なーにやってるの?」


“わっ!ちょっと見ないで”


「いいじゃん見せて・・・え・・・凄い・・これキッカワが書いたの?」


“うん・・・”


「凄い!こんな綺麗な絵初めて見た!!
キッカワ、絵の才能あるんだね!」


“僕・・将来画家になりたいんだ・・。”


「キッカワなら絶対なれるよ!応援する!」


“リリカは学習院卒業したらどうするの?”


「私は獣医さんになりたいんだ。
それでやりたい事がある。」


“なに?”


「色んな街を回って感じたんだけど、
この国には野良の子達もたくさんいる。

飼い主さんが亡くなったとか、やむを得ない事情で主を失ったイヌやネコの為に・・

あそこで診療所を開きたい。」


“・・・・・エレベスト?”


「お父さんに聞いたんだ。

施設でも抱えきれない子達は最終的に自然へ・・あの山に還すって。

だからあそこの山にも多くの動物達がいる。

でも人間があそこに入る事なんて滅多に無いから、病気や怪我を負っても治せる人がいないの。

だから私は将来、あの山でたくさんの動物たちに囲まれながら暮らしたい。」



“・・・・・・・・”


「うん?」



“僕も描きたい。

リリカと一緒に幸せそうに暮らす動物達を。
動物達と一緒に幸せそうに暮らすリリカを。

描きたい・・です・・・”
















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