守りたい ただあなただけを


リバル様は再び私に背を向けて、
窓からの朝陽を浴びる。



「5万1151匹。」


「・・・・・・・・・・。」


「虐殺令で僕が奪ったイヌとネコの命の数だ。」



その後ろ姿がやがて小刻みに震える。

肩を震わせ、
王室に静かに嗚咽が漏れ始める。



「あと1匹・・・あと1匹救えた。

僕がもっと早くこのウイルスの存在に気付いていたら・・・

もっと早くワクチンを完成させていたら・・・

あと1匹は救えた・・・。」


「・・・・・・。」



ゆっくりとその後ろ姿に近づく。


もうそこにはイヌとネコの命を弄ぶ暴君の姿は無く、

誰よりも民と動物を想う・・
一人の国王がいた。


こぼれ落ちる涙を拭うことなく、
私にもたれかかるリバル様の肩を抱く。


「カズマ・・。

僕はただ守りたかった。

ご先祖様が・・父上が・・兄上が守り続けたこの国の人々を・・

ただ守りたかったんだ・・。」


「きっと・・きっと救われます!

あなたが開発したこの薬で・・
必ずやこの国は救われます!!

また再び、動物と人が笑い合って過ごせる未来が必ず訪れます!」



「僕の役目はもう終わった・・・。」


「・・なにを・・?」



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