守りたい ただあなただけを
“コンコン”
「あ、来たみたい!」
「僕が出るよ。」
ちょうど手を拭いたところだったので玄関へと向かう。
扉を開けると、
今日のお客様が揃ってのご到着だった。
「キッカワさんこんにちは。」
「今回は迷わず来れた。」
「どうぞ上がって下さい。
急遽クリームシチューを作ることになったのでリリカは台所で失礼します。」
「どうかお気を遣わないで。
キッカワさんとリリカとは昔の関係のままでいたいんです。」
「とは言っても、イズミ様がお忍び中のお忍びで来ていることも忘れないように。」
「はーい。」
かつて一緒に戦った仲間。
現王女 イズミさんと、
側近のエイダさんを迎える。
“政権交代”後も、
僕達は1年に1度こうして集まっていた。
例年ソプラノへこちらがお伺いしていたけど、
今年は“久し振りに山を登りたい”
とイズミさんが提案したので、
僕達の家で開催されることになった。