守りたい ただあなただけを
リューマの家には立派な祭壇がある。
そこに並ぶ2枚の写真。
リューマのお父さん、お母さん。
「じゃあ任せた。」
僕の横に座って目を閉じたリューマが両手を合わせる。
「うん。」
僕も目を閉じ手を合わせると、
学習院で習ったこの国に古来から伝わる詩、
“鎮魂歌”と呼ばれる、
死者への手向けの詩を読み上げる。
非常に長いので、
暗記している人は少なかった。
賢いコロも、この時ばかりはリューマの顔を舐めずにちょこんと座って読み終えるのを待つ。