守りたい ただあなただけを
「ありがとうマコト。
なんか茶煎れてくる。」
最後の一節を読み上げると二人とも目を開けた。
「いいよそんな気遣わなくても。」
『ワン!』
台所に向かったリューマをコロが追っかけていった。
もう5年も経つのか・・・・。
バスを襲った未曾有の砂嵐災害。
消防団で働いていたおじさんとおばさんは、危険を顧みず救助活動を続けてくれた。
僕の家にも来てくれて、
おじさんが母をおんぶして、
おばさんがコロを抱っこしながら僕の手を引いて避難所まで連れて行ってくれた。
「どうぞ。」
「ありがとう。」
リューマは決して弱いところを見せなかったけど、
こうして毎年命日になったら必ず祭壇に手を合わせる。
ハグワール自衛部隊の入隊を断ったのもきっと・・
おじさんとおばさんが命を賭けて守ったこの街を・・離れたくないからだと思う。