蒼い月と紅の灯火
出会い
寒い、とっても寒くて痛い。
さくり、さくり、自分の足跡が雪に残っていく。
一人は寂しい。独りは、悲しい。
人間なんて大嫌いだ、人間のせいで皆は……。
狐の私は里の皆と静かに暮らしていた。けど、そんな平凡な日は長くは続かなかったんだ。
何百年も人間にばれることなく過ごしていた、なのに、なのに!
ある日人間が急に里に攻めいってきて、里の皆を、殺していったんだ。
お母さんも、お父さんも私を庇って逃がすために…
どうして、こんな目に合わないといけないんだろう。
「お母さん、お父さん……」
寒さで悴んで体が言うことをきかない。
「もう、動けないよ……」
そこで私の意識は途切れた。