蒼い月と紅の灯火
苺を食べ終えて皿を片付ける。風呂場にいくと、一人で使うには勿体無いと思うくらいの広さだった。
着替えは既にタオルと共に置かれていた。
服を脱いで浴室にはいる。
「蒼兎こんなとこに住んでて寂しくないのかな」
身体を一通り洗ってからお湯に浸かる。丁度いい温度でこれまでの疲れが一気に取れていく。
蒼兎に拾われるまで、ずっと里からさ迷う様に歩いていた。何処に行けばいいのかもわからずに。
ついに雪の日に行き倒れたところに蒼兎に出会った。
「蒼兎もどうしてあんなところにいたんだろう」
里からあまり遠くはないけれど、人が住む集落からはかなり遠いところのはずだ。
「外も山の中って感じがしたし、よっぽど辺鄙なところに住んでるんだろうな」
だとしたら、どうしてだろう。人と関わることを避ける理由は一体なんだろうか。
これ以上入っていると寝てしまうので風呂からあがり、タオルで身体を吹いていく。しかし、髪の毛だけは長すぎて拭ききることが出来ない。
「蒼兎! 助けて!」
バタバタと駆け回り蒼兎を探す。