蒼い月と紅の灯火
「そんなに騒がしくしてどうしたの」




「髪の毛乾かすの手伝って! いつも長いからお母さんにやってもらってたの」




「わかった、おいで」




膝のあたりまで伸びきった真っ白な髪。雪のように輝いていて、さらさらと流れていた。




「綺麗な髪だよね、いいね、瞳も宝石のようだし」




「お母さんに似たの、お父さんは黒髪なんだよ」




「そっか、朱里のお母さんはきっと美人なんだろうな」




「うん! 里一番の美人なんだよ」




「そりゃ、あの人は……」




「お母さんを知ってるの?」




「ちょっと、ね」




気まずそうに私から顔を逸らす。




蒼兎のお陰で髪の毛もすっかり乾いた。




「じゃ、僕もお風呂にいくね」




「うん、ありがとー!」




蒼兎がお風呂に行くのを確認すると、布団の部屋に戻る。冬場の布団はとても冷たかった。





「やっぱり眠いな」
 



里の襲撃から一度もまともに休めたことなんてなかった。あの悪夢の日から。




段々と意識が薄れていく。そこで私は夢をみた。
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