蒼い月と紅の灯火
朔夜に蒼兎が掴みかかる。
互いの激しい怒声が響き渡る。
それはもう、まるで獣のような。
「朱里になにしてんだよ!」
「みての通りだけど? 何、そこまで馬鹿だっけお前」
必死に殴りかかろうとする蒼兎を朔夜はヒラリと避ける。
誰でもわかるくらい。
二人の力の差は圧倒的だった。
「この……!!」
蒼兎がついに床に叩き付けられる。
痛々しくて目も当てられない。
「お前じゃ俺に勝てねぇよ。分かりきった事だろうが」
蒼兎を殴ろうと朔夜が拳を引いた瞬間。