蒼い月と紅の灯火

急にキスされて、ましてや初めてを奪われて。
蒼兎と、って思ってたのに……。




「ごめんね、朱里」




その謝罪が辛い。
そういうことじゃないのに……。




「わ、私の……」




「僕が不甲斐ないから……だか、ら!?」




蒼兎の着物を引っ張って自らキスをする。
恥ずかしくてたまらないけど、そんなの気にしない。




だって、蒼兎が卑屈になってるんだもの。
そういうことを求めてるわけじゃないのに。




「あ、朱里!?」




「蒼兎の馬鹿!」




「ごめん……」




「もっと、触れ合いたかった」
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