蒼い月と紅の灯火
飲まず食わずで歩いているため、目眩がする。そして段々と気持ち悪くなって意識がうすれてくる。
『こんな、とこ、で……』
チュンチュンッ……。
「ん、寝てた……?」
あの夢は蒼兎に拾われる前の出来事。
「何時だろう」
とは言え時間が分かるものが近くにない。
「ん……?」
なにやら居間の方から話し声が聞こえてくる。
「蒼兎と……朔夜さん?」
気付かれないように聞き耳をたてる。
「蒼兎、お前まだあのこと気にしてるのか」
「あれは僕のせいだもの。それは紛れもない事実」
「朱里ちゃん、どうすんだ」
「面倒はみるよ。元気になるまで」
「元気になるまで、ね……」
「僕といればきっとあの子も不幸になる」
「俺はそうは思わないがな。まぁ、好きにすればいい責めはしないが、お前、本当にそれでいいんだな?」
「いいんだよ、これで」
何の事を言っているのかわからなかった。でも、きっと私が元気になったら蒼兎のもとから離れなければいけないんだろう。
蒼兎はきっと、何か大事な物を抱えているんだ。それを支えることが出来ない自分が不甲斐ない。