蒼い月と紅の灯火

「行くかい?」




「え、じゃあ、お願いします」




「よしきた!」




こうして朔夜さんの提案(もとい蒼兎の提案)で、私は町に行くことになった。




町に行くのなんて産まれて初めての事だから、内心ではドキドキが収まらなかった。




(どんなところなんだろう……)




人間達が住む町。




やっぱり怖いけど今は二人がいる。それに、変化はよっぽどの何かがないと解けることはないから大丈夫だろう。




「わぁ……!」




町に着くと、たくさんの人で賑わっていた。




何かを売り歩いてる人や、お店の呼び込みをしている人。




里に比べてとっても賑やかで、どれも物珍しかった。




「どうだい朱里ちゃん」




「初めて来るのでドキドキしてます!」




「だってよ蒼兎、よかったな!」




「うるさいよ」




今日の蒼兎は朝から様子がおかしい。




初めて会ったときより考え事が多いし、なにより中々私の方を向かなかった。




朔夜さんへの反抗も小さいし、話しかけてもこないし。

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