蒼い月と紅の灯火
目を覚ませば、そこは暖かく知らない家の中だった。
「ここは、どこ?」
「目が覚めたみたいだね、具合はどうだい?」
「……!?」
人間!ふと見たときにそう思ったが、何か違う雰囲気だ。
そこには優しそうに微笑む青年が居た。
銀髪で、前髪で隠れていて顔は見えなかった。
「あなたは、誰?」
「喋る狐なんて珍しいね、毛も綺麗な白だ。瞳は紅でとても綺麗な色をしているね」
こちらの質問に答えてほしい、けれどそう言う彼の声は切なさをおびていた。
「そうだね、僕は蒼兎。君は?」
「私は……」
この人は信用していいのだろうか。私の事を化け物として追い出すのではないのか。
「言いたくないなら言わなくて良いよ。でも、わざわざ助けたのに気持ち悪いって追い出すような奴に見えてるのかな?」
「読まれてる!?」
「そんなに訝しげに見られたら誰だってわかるよ」
「助けて貰ったのにごめんなさい……、私は朱里です」
「いい名前じゃないか、それよりお腹空いてない?」
蒼兎が聞くと同時にお腹がなる。
「可愛いね、素直だ」
「生きてるうえで仕方ありません!」