蒼い月と紅の灯火
「終わりましたので、あちらの部屋へどうぞ」
「ありがとうございます!」
お姉さんが言った部屋にはいると、また別のお姉さんがいた。
「どうぞ! 着物ならここはすぐ仕上がるから大丈夫よ」
「そんな早く……?」
「まぁ、不思議な店だから」
狐じゃあるまいし、と思いながらお姉さんに近づく。
「そこ座っていいよ」
「あ、ありがとうございます」
「髪の毛、先にまとめちゃおうか」
「髪もやるんですか?」
「もちろん。かんざしは蒼兎くんに貰ったわよ」
「そうなんですか、お願いします!」
お姉さんは私の髪をとかすと、綺麗ににまとめていく。
私はそんなことした事もないからうきうきしていた。
手際よく進めていくお姉さん。
(いいな、私も出来るようになりたいな)
お姉さんは最後にかんざしを持ってきた。
それは、雪の飾りがついたかんざし。
全体的に蒼い色をしていた。
「綺麗……」
「でしょ? 蒼兎こんなの持ってきてびっくりしたわ」