蒼い月と紅の灯火

元気になったのなら


結局三人で寝ることになった。




しかも、一枚の布団に。 
いくら大きめといっても狭すぎる!




「何故」




「朱里がそういったから」




「朱里ちゃんいい匂い~」




「そうではなくて、何故私と一緒に寝たいの。あと朔夜さん閉め出しますよ」




「ごめん! でもそれは勘弁」




それでも朔夜さんはくっついてこようとする。
それを許さないように蒼兎も抱きついてくる。




「……」




流石に私でもドキドキしてくる。
というよりは……。




「く、くるしい!」




「じゃあ兄さんが離して」




「えー? 嫌だね、蒼兎がどきな!」




「もう、なんでもいいんでうるさくしないで。寝れません」




「「ごめん」」




やや苦しいけど、もう寂しさはなくなっていた。




二人の匂いが何故か急にわかるようになった。




それはとても安心出来る匂いだった。
そして、何処か覚えがあるような。




そんな、優しくて甘い香りだった。




そのお陰か私は昨日よりも早く眠りについた。

< 31 / 156 >

この作品をシェア

pagetop