蒼い月と紅の灯火
【蒼兎side】
「朱里ちゃん、寝たぞ」
「そうみたいだね」
僕たちの腕の中で眠る朱里はとても無防備だった。
肌は白くて、つつくとぷにぷにしていた。
「蒼兎くんは嫉妬深いですなー」
「兄さん、明日覚えててね」
「おーこわこわ。ところでそんなベタベタでいいのか」
「よくないよ、だって元気になったらお別れだもの。行くあてが無いなら兄さんよろしくね」
「ここまで来て俺に押し付けんのかい。でも、そんなに好きなら自分の元に置いとけよ」
「……」
好き……?
そうかもしれない、出会ったあの日から。
でも、それとこれとは別だ。
僕は朱里から大事なものを全て奪ったんだ。
「後悔するようなことはすんなよ」
「そうだね……」
すやすやと寝息をたててる朱里に悪戯する兄。
今すぐにもぶん殴りたいけど流石に出来ない。
「蒼兎、お前何か物騒な事考えてない?」
「そんなことないよ?」
「お前、笑顔黒いぞ」