蒼い月と紅の灯火
仕方ない、朱里の事になると冷静でいられなくなる。いつもみたく平然を装うことが難しくなる。
それはきっと、朱里が好きだから。
でもね、この想いは迷惑だろうから。
心の中にしまっておくんだ。
素直になってしまったら、全てが壊れてしまいそうで。
それが怖くて、とじこめる。
臆病っていわれたって構わない、本当の事だから。
「はぁ……」
しかも、昔より可愛くなっている。
可愛く、しかも綺麗に。
色んな事を考えて顔を見てしまう。
「やましいことですか? え? あ、唇?」
そろそろ兄をなんとかしたい。
だってムカつくから。
「悪い?」
「あ、認めた、蒼兎が、あの蒼兎が。気持ち悪」
「ハハッ」
自分でも口元がひくついてるのがわかる。
誰だってこんなことされたらムカつくに決まってる。
でも、明るく元気づけてくれるから憎めない。
「ツンデレ蒼兎くん」
訂正、やっぱり憎たらしい。