蒼い月と紅の灯火
【朱里side】
「暑い。冬だよね?」
目が覚めると圧迫感と暑さが襲ってくる。
おまけに顔を横に向けることが出来ないほど二人の顔が近い。怖い。
「二人とも、起きて、動けない」
「ん、朱里おはよう」
先に蒼兎が起きた。
蒼兎の方がくっついていたからありがたい。
「おはよう蒼兎、離れてね」
「えー、嫌だ」
更にくっついてくる蒼兎。
しんどい。
「朝ごはん作るんだよー」
「ご飯なら、朱里ちゃん……むにゃ」
「ぎゃー!? 私の髪食べちゃだめ!」
驚きのあまり思いもよらなかった力で二人を弾き飛ばす。
「いった!?」
「何事!?」
ガバッと起き上がって目をぱちくりさせる二人。
「朱里?」
「え、朱里ちゃん? すごい馬鹿力」
蒼兎は許す。だが朔夜さんは許さない。