蒼い月と紅の灯火

蒼兎は畳の部屋に布団を敷いてくれた。狐の姿でも寝やすいように整えて安心出来るよう何時でも外が見れる位置にずらしてくれた。




「元気になるまでは面倒みてあげるから」




「うん、ありがとう」




元気になるまでは、その言葉に違和感を覚えたけれど、私は蒼兎の切なそうな声を感じとり、それ以上は聞くことが出来なかった。




「ゆっくり休んでてね。もうすぐ兄さんが来るんだ」




「お兄さん?」




「結構騒がしい兄なんだ、本当、うるさいよ……」




初めて蒼兎が苦々しい表情をみせた。




「でも蒼兎のお兄さんなんでしょ? ならいい人なんだよね?」




「え、あぁ、そうだね」




不意を突かれたように蒼兎の口元がひくついている。




「蒼兎は顔見せてくれないの」




「見ても面白くないよ」




「えー、ケチ」




「はいはい、早く休みなさい」




私の頭をぽんぽんすると、逃げるように部屋を出てしまう。


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