蒼い月と紅の灯火
「そうだよ、朱里だから」
「そう」
それ以上朱里は僕に聞いてこなかった。
けれど、悲しそうな顔をしていた。
わかってる。わかってるんだ。
でも、ごめんね、僕は弱いから。
君と一緒に居ることはできない。
食事を終え、朱里は風呂も済ませ部屋に戻る。
その一つ一つの行動から、悲しさが溢れていた。
「朱里……僕は」
間違っているんだろうか。
「こんなこと聞いても、わからないよね」
朱里は寝始めているはずだから風呂にいく。
休もうと思っても頭が朱里のことで一杯でこれっぽっちも休めたものじゃない。
「重症、だな」
朱里が好きなのに。守れないと突き放す。
だから、僕は弱いんだ。
兄さんなら何て言うんだろう。
馬鹿にするんだろうな。
「暑い……あがろう」
体を拭いて部屋に戻ろうとする。
すると、朱里の声が聞こえてくる。
「……」
「蒼兎……嫌だよ……。ひっく……」
「朱里……ごめん」
そりゃ、悲しいよね。
でも、僕は……。