蒼い月と紅の灯火
朔夜さんに連れられて山道を歩く。
「どうしてですか」
「ん? 俺が朱里ちゃん見ること?」
「蒼兎は、私の瞳から誰を見てるんですか」
朔夜さんの表情が曇る。
いつもうるさいから少し驚いた。
「君によく似てる人」
「私に……?」
私は母にそっくりだった。
二人は知らないはずなのに。
もし、そうだとしても、何故?
考えても分からない。
私は蒼兎じゃないから。
「朱里ちゃんも蒼兎が大好きだねー」
「そんなこと!」
頬が熱くなる。
そうなのだろうか?
「妬けちゃうなー。俺寂しいじゃん」
「朔夜さん?」
「朱里ちゃん、ついたよ」