蒼い月と紅の灯火
あなたと別れて
そこは、蒼兎の家からかなり離れていた。
「いつのまに着いたんですか」
「裏道の崖からだよ? 帰りしか使えないけど」
帰りしか使えない。
蒼兎の元には私では帰れないということ。
「嫌なことしてくれますね」
「ごめんね、蒼兎がそういったから」
「いいです」
朔夜さんに八つ当たりしても仕方ないのに……。
「あ、好きなように家の中はみていいよ」
「え?」
「蒼兎の事が分かるものなんて、多分ないけど」
多分。
朔夜さんはそう言った。
意地悪そうな笑みを浮かべて。
「んじゃ朱里ちゃん、お昼は過ぎたけど夕飯はよろしくね! 家の中を見てて時間忘れないでね!」
「ありがとう朔夜さん! 大好き!」
「ぐはっ! 唐突だね? 気を付けてよ」
「はい?」
「いや、いいよ……うん」
私はるんるんになって家の中を見て回る。