蒼い月と紅の灯火

家の中は蒼兎の家と同じくらいの広さだった。
と、いうより。




「あれ? 蒼兎の家と造りが同じ?」




置かれる家具や壁の色が違ったからわからなかったが。基本的な家の構造はまったく一緒だった。




「二人共本当にお互いが好きなんだな」




造りが同じなら探しやすい、が。




「タンスとか勝手に開けていいのかな……?」




あちこちの家具を探って回った。
これじゃまるで空き巣を狙った泥棒みたい。




でも、朔夜さんはいいと言ってくれた。
蒼兎の事を知っていいと。




どうして、こんなにも蒼兎が気になるの?




それと、昔遊んでくれたあの兄弟。
二人と同じ綺麗な銀髪の兄弟。




いや、蒼兎は母を知っていた。




「まさか……嘘、でしょ」




更に家の中を荒らすように探し回る。
でも、何も見つからない。




どうして。
朔夜さんはそういう意図で言ったのでは?
私の、勘違い……?




「あ、夕飯作らないと」




探し物に夢中になっていて気付けば日が落ちていた。
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