蒼い月と紅の灯火

【朔夜side】




本当に可愛いなぁ、朱里ちゃんは。
俺の言葉に動揺してるのが目に見えてわかる。




「ゆ、夕飯作りますね!」




足早に台所に行ってしまう。
おろおろしなが作業をしている。




そんなに今の言葉は効いたかな?
男ってなにか、意識してくれたかな。




ねぇ、蒼兎。
いいのかな?




このまま、俺と朱里ちゃんに何かあっても。




いいよな、お前は手放したんだから。
よりによって俺の所に渡した。




そういうことで、いいんだよな?




「ねーねー、俺魚食べたいな」




「え!? わかりました! 鱈でいいですか」




「うん!」




俺の声でかなり驚いたらしい。




「楽しいなぁ」




朱里ちゃん、ごめんね。
君は蒼兎が好きなんだろうな。
自覚は、微妙だろうな。




でも、きっとあの子の事だからわかってる。

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