蒼い月と紅の灯火
今更……?
朱里を追い出した僕に今更何が出来る。
あんなに悲しい顔をさせて。
あれだけ、朱里を泣かせて。
それなのに、僕は何をしようとしているんだ?
振り回すだけ振り回して、朱里は無視して。
なんて、自分勝手で愚かなんだろう。
「僕、は……」
でも、兄さんに意地悪くらいしてもいいよね。
痕のつく朱里の首から下、鎖骨の部分に唇を近づける。
「ん……」
「起きないんだね」
思わず苦笑いがでてしまう。
今の僕は弱いから、だから。
強くなるまで、もう少しだけ、待っててね。
「蒼兎……」
ドキッとした。
起きているのかと思っても、その気配はない。
「寝言か……でも、嬉しいな」
朱里の頭を撫でてその場を立ち去った。