蒼い月と紅の灯火
いつもの優しい表情は消え、うっすら冷たさを感じさせるような顔に変わってしまった。
「あーあ、油断してたなぁ」
「油断……?」
「ほら! 朝ごはん食べよう!」
冷たい表情は消え、いつもの明るい朔夜さんに戻っていた。
それがなぜだかとても不気味で。
怖かった。
「そ、そうですね、食べましょう」
あれは、本当に朔夜さんなんだろうか。
いつも優しく元気な顔しか見ていなかったから、動揺してしまう。
意外にも朔夜さんの料理は美味しかった。
もう少し雑かと思っていたのに、しっかりしてる。
「悔しい……」
「何? 俺の手料理美味すぎて惚れちゃった?」
「馬鹿なこと言わないでください」
「えー、酷いな。でも、男女が一つ屋根の下に暮らしてるなんてさ、普通何か想像しちゃわない?」
「……」
そうか、そういえばそうだった。
私はそういうものには疎かった。
でも、考えてみればおかしいのだろうか。