蒼い月と紅の灯火
私は無我夢中に走った。
分かってたんだ。
人間とは仲良くなれないって、でも心の奥底の何処かで期待していたんだ。
いつか、仲良く共存出来たらって。
「でも、そんなの……!」
出来るわけが……。
「きゃっ!」
「いたっ!」
誰かにぶつかってしまった。
「ご、ごめんなさい……!? あ、蒼兎!」
「大丈、夫!? あ……」
私の顔を見るなり走り出す。
「待って蒼兎!」
思っていたよりも足が速い。
てっきり遅いのかと油断していた。
絶対に追い付く。
聞かなければいけないことがあるから。
「負けないんだから!」
「!?」
こちらを振り返り目を見開く蒼兎。
だがまだ速度があがっていく。
「やっぱり……。この速さ人間じゃない」