蒼い月と紅の灯火

あちこちと角を曲がっていく。
本気で撒くつもりなんだとわかる。




そんなに、私ともう会いたくないのだろうか。
でも、迷っていられない。




チャンスなんてそう何回もやってこない。
だから、来たときにぶつからないと。




「捕まえた!!」




追い付いた。




「は、速すぎでしょ朱里」




「蒼兎が逃げるから……」




改めて涙が出てくる。
悲しかった。逃げられたことが。




嫌われたのかなって。




「ごめん、ね」




「何が!? いつも謝ってばかりで理由は言ってくれなかったじゃん! だから……」




「ごめん、でも……」




「どうしたの?」




「人間を止めないと。集落の人達は襲おうとしているんだ」





また、襲おうと。
やはり里の襲撃に蒼兎が関わっているのだろうか。




「襲うって、何を?」




「……狐だよ。妖狐、化け狐。」




「え……」




罪悪感の混じった瞳で私をみてくる。

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